2012年5月3日木曜日

スポーツ外傷・スポーツ障害 - goo ヘルスケア


スポーツ外傷・スポーツ障害とはどんな外傷・障害か

 スポーツによる外傷・障害は、急性の外傷と慢性の障害とに分けられます。外傷とはいうまでもなく、骨折、脱臼(だっきゅう)、捻挫(ねんざ)、打撲(だぼく)(挫傷(ざしょう))、肉ばなれ、腱断裂(けんだんれつ)、靭帯(じんたい)損傷などです。
 一方、障害とは主としてスポーツによる使いすぎ(オーバーユーズ)を原因として発生するものです。すなわち、腱、靭帯あるいはその付着部、関節軟骨(かんせつなんこつ)をはじめとする関節構成体、さらには骨組織などに繰り返しの負荷が加わることにより、これらの組織やその周囲に炎症が生じたり、組織自体の変性や破綻(はたん)を来すものです。
 以下に外傷と障害の具体例について紹介しておきます。

●スポーツ外傷(がいしょう)
 上腕骨(じょうわんこつ)に発生する投球骨折や腕相撲骨折、手首の有鉤骨(ゆうこうこつ)骨折、骨盤(こつばん)の裂離(れつり)骨折などスポーツ活動に特有の骨折もありますが、外傷の形態それ自体については、スポーツ活動によるものと日常生活で起こるものとの間に大きな差はありません。ただし、スポーツの種類によって発生しやすい外傷というものはあります。


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よく起こるスポーツ外傷

 アメリカンフットボール・ラグビー・相撲の頸椎(けいつい)損傷や頸部捻挫(けいぶねんざ)、ラグビー・アメリカンフットボールの鎖骨骨折(さこつこっせつ)や肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう)そして肩関節脱臼(かたかんせつだっきゅう)、バレーボール・バスケットボール・ラグビー・サッカーの膝関節(ひざかんせつ)靭帯損傷、サッカーの足関節捻挫(そくかんせつねんざ)(外側(がいそく)靭帯損傷)、陸上短距離や野球の肉ばなれ、バレーボール・バスケットボールの突き指などはその好例です。
 なお、アキレス腱の断裂は、普段スポーツをあまりやらない人が草野球や運動会などで急にスポーツをして受傷することが圧倒的に多い外傷です。
 スポーツ選手の場合は、慢性のアキレス腱周囲炎などに続発することが多く、突然断裂することはまれです。野球による突き指や上腕骨の投球骨折も草野球参加者など未熟者に発生することが大半で、訓練された選手に発生することは極めてまれです。


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注意すべき特殊なケース

 これらの外傷の具体的な症状や治療法についてはそれぞれの項を参照してもらうとして、外傷のなかには見落とされやすい骨折や異常な経過を示す例もあるので注意が必要です。
 たとえば手首を構成する小さな骨(手根骨(しゅこんこつ))のうち舟状骨(しゅうじょうこつ)や有鉤骨の骨折は手術が必要な例も多いのですが、初期には診断がつきにくく、単に手首の捻挫として治療されているケースも少なくありません。
 また、強度の打撲のなかには、のちに筋肉の一部が骨に変わってしまう(異所性骨化(いしょせいこっか)という)例もありますし、下腿の打撲のなかにはコンパートメント症候群といって、はれによる循環障害のために急速に筋肉や神経が壊死(えし)に陥るような恐ろしい例もあります(緊急手術が必要です)。
 外傷は初期治療の適否が予後を左右します。したがって経過に少しでも疑問があったら早めに整形外科などの専門医を受診したほうがよいでしょう。

●スポーツ障害(しょうがい)
 前に述べたとおりスポーツ障害は使いすぎ(オーバーユーズ)を原因とするもので、成人はもとより、成長期の少年少女にもしばしば発生します。
 ここでは、典型的なオーバーユーズによる障害であるにもかかわらず外傷と思われがちな疲労骨折について解説します。


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●疲労骨折(ひろうこっせつ)

スポーツ外傷・スポーツ障害とはどんな障害か

 疲労骨折とは、通常1回の負荷だけでは骨折を起こさない程度の外力が、正常な骨の同一部位に反復して加わることによって骨組織の結合の中断を起こし、最後には明らかな骨折を生じるものとされています。

よく起こる疲労骨折

 スポーツによる疲労骨折の発生部位は疾走やジャンプを繰り返すスポーツ種目における下肢の荷重骨(かじゅうこつ)(脛骨(けいこつ)、腓骨(ひこつ)、大腿骨(だいたいこつ)、骨盤(こつばん)、中足骨(ちゅうそくこつ)、足根骨(そくこんこつ)など)、とくに脛骨に多発し、全疲労骨折の約50%を占めるとされています。下肢骨以外の種目に特異性の好発部位としては、ゴルフ・ボート・野球の肋骨(ろっこつ)、野球・やり投げの肘頭(ちゅうとう)、剣道の鎖骨(さこつ)、ソフトボールの尺骨(しゃっこつ)などがよく知られています。


検査と診断

 主な症状は罹患部の疼痛ですが、その診断は必ずしも容易ではありません。疲労骨折の初期には、単純X線写真には異常所見が認められないことが多いからです。したがって医師は疲労骨折を疑ったら、定期的にX線写真をとって経過を観察します。
 また、有用な補助検査として骨シンチグラフィやMRI検査を行うこともあります。このうち骨シンチグラフィは単純X線写真では認められない異常も100%映し出しますので、疲労骨折診断の決め手とされています。

治療の方法

 疲労骨折の治療は通常保存的に行われます。骨折線(こっせつせん)が明らかでない場合には、スポーツを休ませるだけのこともあります。しかし、骨折線がある場合にはギプスなどによる外固定を行うのが一般的な治療法です。
 ただし、疲労骨折のなかには難治性のものもあり、こうした例では手術を行うこともあります。

(執筆者:竹田 毅)

※初診に適した科を掲載しています。なお病院・診療所によって診療科目の区分は異なりますので、受診の際はよくご確認ください。



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